都会の雑踏から、ゆっくり豊かな自然の中でのんびり過ごす生活に憧れを抱いて田舎暮らしをスタートさせる人は多い。

地域おこし協力隊についても、そうした願望を持ちながら志願する人がいることも確かだ。

「地域おこし協力隊になれば、地方でのんびりゆったり暮らせる」

あながち間違いではないが、少し立ち止まって考えていただきたい。

既にまちおこしに関わっている人はすでに察しがついているだろうが、まちおこしと言われる分野の主な活動時間は空いている時間に行われることが多い。

それぞれ本業を持った人同士が集まって取り組まれることから、どうしても休日もしくは平日の18時以降に進められることになる。

様々な業種の人間が集まったプロジェクトでも、そうした時間を活用しながら信頼関係と実績を積み上げていく。

「地域おこし協力隊は夕方5時以降からが仕事だ。」

という言葉は良く使われる。

先ずは仕事以外の時間で人間関係を構築し、そこから少しずつ人脈や実績を拡げていく。

地域によっては住民の数が500〜1,000人程度の場所に配属になるケースもある。

その場合は、地域の人のほとんどが顔見知りになり、休日の買い物中も声をかけられたり、いつもどこかで見られているような錯覚に陥る場合もある。

休日にはわざわざ車で1時間ほど走らせて、隣町に身体を休めにいく協力隊がいるほどだ。

こうした現状からも分かるように、地域おこし協力隊は一般的な人に比べてかなり公私のバランスが取りにくいと言える。

それどころか、公私の区別をあまりできない。

というのが現実だろう。

常日頃から「人と話すのが好き」や「好きなことをしているのだから苦にならない」という気質を持っている方ならば全く問題ないだろうが、「公私の区別はしっかりしたい」や「プライベートな時間もちゃんと確保したい」という方には、慣れるまでが大変かもしれない。

飲み会も仕事のうちだが、先ずは自分の生活リズムをしっかりと保った上でスケジュールを組むとよいだろう

 

地域おこし協力隊を志す方へのポイント

①地域おこし協力隊は、非常に公私のバランスを保つのが難しい。

地域の方と過ごす時間を確保するのはとても大切なことだが、それ以上に本人の心身の健康が大切である。

自分の時間をしっかりと確保した上で、地域おこしに専念する体制を整えてほしい。

地域おこし協力隊を導入予定の自治体の方へのポイント

①気遣いとバランス調整

地域おこし協力隊は公私のバランスを取りづらいことをしっかり理解し、本人の健康状態や精神状態に気を使うことは非常に大切である。

特に就任当初の地域おこし協力隊は、張り切って休日返上で活動するケースが多いが、それが本人の我慢によるものか、心からの行動なのかをしっかりと見極めて、時にはしっかりと休みを取るようにアドバイスすることも必要である。