地域住民は最も大きな地域資源

地域課題解決のための事業を考える際、自然や特産品など、様々な地域資源を組み合わせて組み立てていく。

その時、最も重要な地域資源はその地域に住む住民だ。

地域には様々な人がいる。

こだわりの農法で美味しい農作物を作る人や、地域に伝わる伝統産業を代々引き継いで行っている人、地域の世話人的な役回りを買って出てくれる人もいる。

そうした地域住民の方の特性や想いをいかに巻込みながら事業を進めていけるかが重要なポイントだ。

この場面でも、地域の方とのコミュニケーションは非常に重要である。

コミュニケーションがしっかりと取れていればこその地域住民との恊働が実現できるのだ。

推進力の獲得と信頼関係の構築

地域の方を巻込んで事業をするのは、とても難しい。

想いを持った人が集まれば集まるほど、それぞれの想いを尊重しながら、事業をまとめてあげていくことは難儀となる。

「実施する」という意味においては、自分自身で完結出来る事業を行う方が遥かに簡単だ。

しかし、その事業がもたらす結果や影響力等を考慮すると、やはり地域で行う事業は、地域住民を巻込みながら行う方が望ましい。

その理由は2つ。

推進力の獲得」と「信頼関係の構築」である。

単純に人数が増えることによる推進力の獲得も期待できるが、地域において、その推進力が持つ潜在的な力は他のフィールドにおけるそれよりも大きい。

地域の中では「あの人が良いなら私も良い」といった属人的な習慣がある。

故に、地域の中で信頼に足る住民と協力体制を構築することは、事業に関わる頭数以上の推進力を得ることを意味するのだ。

地域住民を巻込みながら事業を進めるということは地域住民との信頼関係づくりにもつながる。

事業を組み立てる際、例え自分で完結できる事業であっても、出来るだけ地域住民を巻込みながら実施したい。

地域住民を巻込むためには、それだけ住民の事を知る必要があり、そのためにはお互いにコミュニケーションをしっかりと取る必要がある。

お互いの特性や想いをきちんと理解したうえで、一緒にやりたいと思える人と協力体制を作る。

そのプロセスにおいてもお互いの間に信頼関係を作る事のできる要素はたくさんある。

それに加えて、実際に協力体制を構築する段階で更に1段階上の信頼関係づくりが可能になる。

人は認められたり、共感してもらえることは嬉しく、心を開きやすい。

地域住民においても同様だ。

地域住民に協力を申し出るということは、その人の事を認め、想いに共感した事を表明する最たる方法だ。

相手も自分の想いに共感し、共に事業を進める体制が作れた暁には、更なる信頼関係が生まれるだろう。

事実、地域おこし協力隊が自分だけで事業を完結させようとすると、「あいつは勝手なことをしている」と思われがちだ。

しかし、地域との綿密なコミュニケーションを通じて構築した関係性を基に恊働モデルを作ることができれば状況は一変する。

地域課題解決へ向けて、力強い推進力と強固な信頼関係を得る事ができる。