報告書ミッション化の危険性
地域おこし協力隊に日々の活動の様子を綴った日報や報告書を提出させている自治体は多い。
確かに紙資料の回覧による報告は、日頃からそれらを扱う自治体内では、スムーズに情報共有が進み効率も良い手段だ。
しかし、この報告書による情報共有に頼りすぎてしまうと、地域おこし協力隊自体の機能を低下させてしまう恐れがある。
報告書を書く事自体が地域おこし協力隊のミッション化してしまうのだ。
業務に真面目に取り組む担当職員ほど報告書の作成をミッション化してしまいやすい。
日報1つとっても、その日1日取り組んだ主な活動内容や活動目的、活動場所、活動時間、参加者、進捗状況、次回取り組む内容、結果・考察、感想、今後のスケジュールなど、事細かく書かせる。
これが毎日提出となるとかなりの負担だ。
文章を書くのが得意な人でもこの日報を仕上げるためには最低20分ほど係るだろう。
1ヶ月20日間この作業を続けた場合、20分×20日=400分ほどの時間が係る事になる。
400分あれば現在の活動を更に充実させることや、新しい取り組みを進めることができるだろう。
毎日の作業負担は小さいように見えて、実はその蓄積は大きい。
把握する手段はいくらでもある。
とはいえ、地域おこし協力隊の活動を把握する事は、担当職員にとって重要な業務の1つだ。
地域おこし協力隊の活動を把握し、それを修正・サポートする必要がある。
地域おこし協力隊に本来のミッションに集中していただくためにも、その活動内容の把握には工夫が必要だ。
日報以外の方法で地域おこし協力隊の取り組みを把握するのも有効な手段である。
日頃、地域おこし協力隊はFacebookやTwitterに代表されるSNSやブログを駆使して活動状況を発信している。
こうしたメディアに掲載された情報から日頃の活動内容を把握することも可能だ。
もちろん、活動の目的や今後のスケジュールなど、細かな情報も把握する必要もあるが、こうした内容は毎回の報告書等で記載する必要は無い。
月に1度の定例会や議会対応など、必要に迫った時だけで充分である。
実際、筆者の所属する香川県では日報は無く、月に2回程度行われる定例会で諸々の報告を行っている。
もちろん、出張報告や事業の節目など、あえて報告する必要があるものについては活動日誌を作成し、回覧する。
その場合もブログでまとめた内容を印刷し資料に添付することで、報告書自体は簡略化していた。
日報、定例会、メディア、口頭など、地域おこし協力隊の活動内容を把握する手段は様々ある。
自治体職員はこれらを上手く組み合わせて状況を把握する必要がある。
地域おこし協力隊のミッションは立派な報告書の束を作成することでなく、地域の課題を解決することにあるということをしっかりと意識しておきたい。
コメントを残す