副業から始まる地域でのなりわいづくり
“地域おこし協力隊は公務員だから、副業はできません”
1、2年前、地域おこし協力隊を受け入れていた自治体からはこうした言葉が良く聞かれた。
最近では、副業が可能な形態で雇用する地域が徐々に増えてきている。
定住するためには3年間の活動期間中に副業しながら少しずつなりわいを築いていくことが大切だということが浸透してきたからではないかと考えている。
こうした流れは今後ますます主流になっていくとみられ、地域おこし協力隊がその地域に定住することができる割合はさらに上がっていくだろう。
隊員期間中、地域おこし協力隊はできるだけ副業をしながら任期後のなりわいづくりの準備を進めていきたい。
農業や漁業などの一次産業から、デザインやライターなどクリエイティブな分野まで、実際に地域おこし協力隊が副業として取り組んでいるものには様々なものがある。
もちろん、本来の地域協力活動に支障をきたすほどの副業ではあってはいけないが、将来への重要な足がかりとなる副業にはそれ相応の力を注いでも良いと筆者は考える。
時給よりも経験値を優先
副業を地域定住への足がかりとするためのポイントは2つある。
「お金が目的ではなく、経験値が目的」ということと、「周囲から理解を得る」ということである。
「お金が目的ではなく、経験値が目的」この考え方は、地域おこし協力隊が地域に定住するために副業をするうえで最も大切だ。
いくら副業可能だからといって、ただお金を稼ぐことだけが目的になっては、地域定住への足がかりとしての機能を果たすにはふさわしくない。
地域おこし協力隊にとって、副業の最大の目的は、その地域で暮らすためのなりわいづくりのための経験値獲得である。
そのためには、地域での将来像をしっかりと描いて逆算し、それに必要な経験をすることができる副業を選ぶ必要がある。
アルバイトをするにしても、「自分の欲しい経験を積む事ができる仕事か」というところにこだわりを持っていただきたい。
任期中の副業で信用を積み重ねる
もう1つの大切なポイントは「周囲からの理解を得る」ということである。
地域おこし協力隊が副業をする際、行政担当者に内緒で始めてしまうケースがある。
行政担当者との最初の相談が煩わしく感じてしまったり、偶発的にスタートした副業をそのままズルズル続けてしまっているケースもある。
こうした状態が続くと、後に大きな信用を失うことになるので、すぐに正直に行政担当者と相談して、今後の副業との関わり方を話し合うべきである。
地域おこし協力隊が副業を行う場合、周りの関係者にしっかりと理解してもらい協力を得ながら行うことが望ましい。
任期後に独立して開業を考えている場合は尚更である。
地域で働くということは、人とのつながりによって仕事をいただくケースが非常に多い。
活動期間中からきちんと独立の意思とそのための副業であることをしっかりと周囲の方に意思表示しながら進めていきたい。
意思疎通がキチンとできた上で、丁寧に仕事をこなしながら信用を積み重ねていくと、行政から業務を委託されることにつながることもある。
地域おこし協力隊は、その地域に根付いた起業を検討している場合には非常に機能的な制度である。
任期後に独立開業に向けた経済的サポートあることに加え、その準備期間中は、行政職員ならではの信用力を持って地域の人と接することができる。
こうした機能を利用し、自身の生業づくりを着実に進めていくためにも、しっかりと周囲の理解を得ながら副業を進めていきたい。
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