5,000人を超えた地域おこし協力隊の業務内容は多様化しており、それに伴って、勤務場所も様々になってきた。
今回は、多様化してきた地域おこし協力隊の勤務場所を大きく3つのパターンに分類し、それぞれのメリット・デメリットをまとめた。
もくじ
- 0.1 地域おこし協力隊の勤務場所3つのパターン
- 0.2 1−1市役所勤務のメリット
- 0.3 ・行政、地域おこし協力隊間の意思疎通が図りやすい。
- 0.4 ・「あそこに行けば会える」という“分かりやすさ”は関係性構築に有利
- 0.5 ・役場の備品を活用できる
- 0.6 1-2市役所勤務のデメリット
- 0.7 ・地域の方とのコミュニケーション機会が減る。
- 0.8 ・役場の雑用を頼まれやすい
- 0.9 2-1支所・出向先勤務のメリット
- 0.10 ・地域住民との距離が近く、コミュニケーション機会が生まれやすい
- 0.11 ・決裁プロセスがシンプル
- 0.12 2-2支所・出向先勤務のデメリット
- 0.13 ・行政担当者との関係性づくりが難しい
- 0.14 3-1自宅勤務型のメリット
- 0.15 ・地域住民との距離が近く、コミュニケーション機会が生まれやすい
- 0.16 ・通勤・帰宅の時間ロスが無い
- 0.17 3-2自宅勤務のデメリット
- 0.18 ・行政担当者との関係性づくりが難しい
- 0.19 ・情報が届かない可能性がある
- 0.20 ・公私のバランスを崩しやすい
- 1 地域おこし協力隊を志す方へのポイント
- 2 地域おこし協力隊を導入予定の自治体の方へのポイント
地域おこし協力隊の勤務場所3つのパターン
地域おこし協力隊の勤務場所を大きく分けると次の3つに分類できる。
1:市役所勤務
2:支所・出向先勤務
3:在宅勤務
「1:市役所勤務」「2:支所・出向先勤務」は、他の職員の方と同様に市役所(or支所・出向先)に通勤する。大抵の場合、担当課内にデスクがあり、一見すると他の職員とあまり区別がつかない。
「3:在宅勤務」の地域おこし協力隊もいる。この場合、基本的にはどこで仕事をしようと自由で、週に1日や月に1日は役場に出向いて活動報告等々を行うケースが多い。
それぞれのメリット・デメリットをまとめてみることにする。
1−1市役所勤務のメリット
・行政、地域おこし協力隊間の意思疎通が図りやすい。
基本的には両者が毎日顔を合わせる事になるため、その場での意思疎通が図りやすい。アイディアやひらめきをすぐに相談できる環境があることはとても重要。
・「あそこに行けば会える」という“分かりやすさ”は関係性構築に有利
地域の方との信頼関係を構築する際、居場所が決まっているという“分かりやすさ”がプラスに作用することが多い。
・役場の備品を活用できる
電話やコピー機、各種文房具など、役場の備品を使用することができることもメリットの1つ。細かな点だが、こうした環境の有無で事業のスピードは大きく変わる。
1-2市役所勤務のデメリット
・地域の方とのコミュニケーション機会が減る。
役所勤務の場合、どうしても地域に出向く時間が少なくなりがちで、地域の方と過ごす時間が減ってしまう。地域の課題やニーズは、地域の方とのコミュニケーションの中から見つかることが多い。役所勤務の場合でも積極的に外出して、地域の人とのコミュニケーションの時間を長く取りたい。
・役場の雑用を頼まれやすい
役場の中にいると、どうしてもコピーや電話番、荷物運びなど、いわゆる雑用を任されがちだ。若くて力がある男性は特にその傾向にある。もちろん、職場の関係性を維持するために、ある程度の雑用はお互い様の精神で行う必要があるが、地域おこし協力隊の本来の主旨を考えると、出来るだけ活動に集中できるような環境を整えておきたい。
2-1支所・出向先勤務のメリット
・地域住民との距離が近く、コミュニケーション機会が生まれやすい
地域の現場に近い支所や出向先の場合、住民が頻繁に出入りしたり、地域おこし協力隊自身がすぐに現場に行けるということもあって、住民とのコミュニケーションが取りやすい環境。
・決裁プロセスがシンプル
支所や出向先は、決裁権を持った人間が少なく、決済プロセスがシンプルなケースが多い。決済プロセスがシンプルなほど、意思決定スピードや活動自由度が高いケースが多く、地域おこし協力隊は活動しやすいといえる。
2-2支所・出向先勤務のデメリット
・行政担当者との関係性づくりが難しい
地域おこし協力隊の担当者が出先機関にいないケースもあり、その場合はどうしてもコミュニケーションが取りづらい。メールだけのコミュニケーションに頼ったが為に、互いに誤解して不信感を持ってしまうケースも少なくない。定期的な直接コミュニケーション機会を設けたい。
3-1自宅勤務型のメリット
・地域住民との距離が近く、コミュニケーション機会が生まれやすい
常に地域にいることから、地域住民とは綿密なコミュニケーションを取る事が出来る。そうしたコミュニケーションを通じて、お互いを理解したり地域の課題を知り得たりすることができる。
・通勤・帰宅の時間ロスが無い
通勤等に時間はかからず、気持ちの切り替えだけですぐに業務に取りかかる事ができる。また業務内容によっては、働く場所を選ばずに好きな場所で業務を行うことができる。
3-2自宅勤務のデメリット
・行政担当者との関係性づくりが難しい
支所・出向先勤務の場合と同様、担当者とのコミュニケーション機会が少なくなりがち。意識して直接コミュニケーションの機会を作っていきたい。
・情報が届かない可能性がある
役場には、総務省をはじめとする全国の地域関連団体から様々な情報が入ってくる。その多くが行政担当者宛に届き、そこから地域おこし協力隊に共有される。自宅勤務型の場合、行政担当者が情報を取捨選択し、必要な情報(行政担当者は不要と解釈したが、実際には地域おこし協力隊にとって有益だった情報)が届かないことがある。しっかりと担当者とコミュニケーションを取って、必要な情報を得ることができる体制を整えたい。
・公私のバランスを崩しやすい
自宅勤務の地域おこし協力隊にとって、仕事とプライベートの区切りをつけることは難しい。地域の方が自宅に訪れることも少なくなく、委嘱直後は困惑することも多い。休みの日は地域外に出かけたり、隠れ家的なカフェで静かに過ごしたりと、自分なりの方法でプライベート時間を確保したい。
地域おこし協力隊を志す方へのポイント
1事前に勤務場所の確認を行う
必ず自分の希望する地域の勤務場所を事前に確認しておきたい。勤務場所の違いによるメリット・デメリットを理解したうえで、地域・行政と向き合っていくことで、スムーズな活動ができる。
2直接的なコミュニケーションの機会を積極的に持つ
自宅勤務の場合に、特に注意していただきたいポイント。担当者とのコミュニケーションは基本的に電話やメール、SNSといったツールを利用することが多い。事務連絡をするだけであれば全く問題はないが、活動や生活全般の悩み、心身の健康状態など、直接的でないとニュアンスが伝わりずらい会話もする必要があるため、その為にも直接顔を合わせる機会を積極的に設けたい。
地域おこし協力隊を導入予定の自治体の方へのポイント
1ミッションに応じた最適な場所と柔軟な対応
勤務場所によって様々なメリット・デメリットが考えられるが、それらを理解したうえで、どの形態を採用するかを検討する必要がある。また、1度決まった勤務場所を活動状況に応じて、柔軟に変化させることも重要。例えば、最初の1年目は市役所勤務で地域おこし協力隊とマンツーマンで活動の骨組み造や人脈づくりを行う。活動の基盤ができたり、地域に慣れ始めた2年目の段階で、より積極的に地域に入り込むことができる自宅勤務に変更するなど、活動のプロセスに合わせた対応も効果的だと言える。
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